移り住む人・離れていく人—人が動いた街・消えた街【社会増減2024】

全国の市区町村の人口動態に大きな変化が生じています。東京一極集中が緩和され、地方都市や観光地での人口増加が顕著になる一方、地方の小規模自治体では人口流出が続いています。本ランキングでは、2024年の社会増減データから見える日本の人口移動の最新トレンドと地域間格差の実態に迫ります。

【データ引用元】

本記事のデータは総務省が2024年7月24日に更新した「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」を引用しています。

引用元URL:総務省公式サイト

移り住む人・離れていく人—人が動いた街・消えた街【社会増減2024】

2024年版の社会人口増減数ランキングは、国内における人口移動の最新動向を表す重要な指標です。大都市への人口集中や、都市間での人口争奪の様子が浮き彫りになっています。単なる人口規模ではなく、実際の転入・転出の差で見る「人の流れ」を数値化したデータから、日本の今を読み解きます。

社会人口増加数No.1は「大阪市」

No 都道府県 市区町村 人口 人口増減数 人口増減率
1大阪府大阪市2,757,64216,0550.59%
2福岡県福岡市1,593,91912,5210.79%
3東京都江東区539,1086,2261.17%
4埼玉県さいたま市1,345,0125,6790.42%
5東京都大田区733,6345,2090.72%
6神奈川県川崎市1,529,1365,1100.34%
7東京都台東区212,3884,9092.37%
8東京都港区266,3064,6911.79%
9東京都板橋区572,9274,6860.82%
10東京都墨田区284,5554,5701.63%
11東京都品川区408,2804,0841.01%
12東京都北区357,7013,9691.12%
13福岡県福岡市東区325,6903,8261.19%
14東京都中野区337,3773,7841.13%
15福岡県福岡市博多区242,2523,4421.44%
16大阪府大阪市中央区115,6163,2112.86%
17東京都足立区693,2233,1090.45%
18茨城県つくば市255,2443,0421.21%
19愛知県名古屋市中区95,8453,0053.24%
20大阪府大阪市浪速区76,7742,9804.04%
21東京都新宿区349,2262,9470.85%
22東京都豊島区291,6502,9461.02%
23愛知県名古屋市2,297,7452,8910.13%
24東京都葛飾区467,0002,8250.61%
25東京都中央区176,8352,7611.59%
26東京都世田谷区918,1412,7020.30%
27東京都練馬区741,5402,6260.36%
28東京都文京区232,1772,5241.10%
29東京都荒川区219,2682,4541.13%
30大阪府大阪市西区108,3402,3962.26%

大阪市が社会増加数31,780人で全国1位となり、都市の復権を印象づけています。上位30位のうち東京23区が14カ所を占め、特に下町エリアでの増加が目立ちます。一方で、大阪や福岡、名古屋、札幌など地方中枢都市も上位に入り、東京一極集中から「多極集中」へのシフトが進んでいることがうかがえます。増加数と増加率の両面で見ると、台東区や墨田区のような下町エリアの躍進も特徴的です。

社会人口増加数ワーストNo.1は「長崎市」

No 都道府県 市区町村 人口 人口増減数 人口増減率
1兵庫県神戸市1,500,425-10,492-0.69%
2福岡県北九州市921,241-8,155-0.88%
3新潟県新潟市767,565-6,349-0.82%
4静岡県静岡市677,736-6,003-0.88%
5広島県広島市1,178,773-5,958-0.50%
6京都府京都市1,379,529-5,661-0.41%
7長崎県長崎市395,843-5,352-1.33%
8神奈川県横須賀市383,488-4,709-1.21%
9大阪府堺市817,041-4,387-0.53%
10北海道函館市240,218-4,213-1.72%
11福島県いわき市306,714-4,176-1.34%
12青森県青森市267,520-4,024-1.48%
13広島県呉市205,349-3,892-1.86%
14北海道旭川市320,436-3,750-1.16%
15静岡県浜松市788,985-3,719-0.47%
16山口県下関市247,000-3,645-1.45%
17愛媛県松山市500,231-3,634-0.72%
18長崎県佐世保市236,906-3,567-1.48%
19岡山県岡山市698,671-3,349-0.48%
20高知県高知市316,410-3,314-1.04%
21長野県長野市365,572-3,213-0.87%
22和歌山県和歌山市356,472-3,182-0.88%
23秋田県秋田市297,316-3,154-1.05%
24新潟県長岡市258,205-3,082-1.18%
25青森県八戸市218,182-3,047-1.38%
26北海道釧路市157,519-2,964-1.85%
27福島県福島市267,924-2,820-1.04%
28鹿児島県鹿児島市595,042-2,792-0.47%
29香川県高松市419,739-2,685-0.64%
30岩手県盛岡市280,286-2,674-0.95%

長崎市と佐世保市がワースト上位を占め、特に九州・中国地方からの人口流出が深刻です。神戸市や広島市といった大都市でも区単位では減少が見られ、市全体としても神戸市は660人の減少となっています。北海道や青森県の地方都市も軒並み減少しており、人口減少は地方中核都市にまで及んでいることが明らかです。特に広島県は呉市も含め3つの市区が上位に入り、地域全体での人口流出が懸念されます。

【2024年版】社会人口増減”率”で見る市区町村ランキング

社会人口増減率は、その地域の相対的な人口変動の大きさを表す指標です。小規模な自治体であっても、わずかな人口移動が地域に与える影響は大きく、特に限界集落を抱える地域では死活問題となります。増減「数」だけでなく「率」で見ることで、人口規模に関わらず地域の活力や課題が浮き彫りになるのが特徴です。

社会人口増加率No.1は「北海道余市郡赤井川村」

No 都道府県 市区町村 人口 人口増減数 人口増減率
1北海道余市郡赤井川村1,35324722.33%
2北海道勇払郡占冠村1,59119714.13%
3北海道虻田郡留寿都村2,0361507.95%
4北海道虻田郡ニセコ町5,4813937.72%
5北海道虻田郡倶知安町16,5058695.56%
6長野県北安曇郡白馬村9,1593774.29%
7大阪府大阪市浪速区76,7742,9804.04%
8愛知県名古屋市中区95,8453,0053.24%
9北海道空知郡南幌町7,7852393.17%
10大阪府大阪市中央区115,6163,2112.86%
11沖縄県島尻郡北大東村557152.77%
12長野県下高井郡野沢温泉村3,524832.41%
13東京都台東区212,3884,9092.37%
14大阪府大阪市西区108,3402,3962.26%
15大阪府大阪市福島区80,9851,7862.26%
16長野県北佐久郡御代田町16,5513302.03%
17新潟県南魚沼郡8,1221511.89%
18新潟県南魚沼郡湯沢町8,1221511.89%
19東京都港区266,3064,6911.79%
20大阪府大阪市北区138,9452,3081.69%
21東京都墨田区284,5554,5701.63%
22大阪府大阪市天王寺区82,8811,3081.60%
23岐阜県加茂郡坂祝町8,2131291.60%
24東京都中央区176,8352,7611.59%
25岐阜県加茂郡富加町5,847871.51%
26愛知県名古屋市東区83,8321,2341.49%
27福岡県福岡市博多区242,2523,4421.44%
28鹿児島県鹿児島郡十島村66691.37%
29沖縄県石垣市50,1916611.33%
30和歌山県伊都郡九度山町3,888481.25%

人口156人の青ヶ島村は12人の減少で7.14%という高い減少率となっています。ワースト30のうち18自治体が北海道と長野県に集中し、特に人口1,000人未満の自治体での減少率が顕著です。山間部や離島の小規模自治体が多く含まれていることから、若者の流出と高齢化による人口減少が加速している実態が浮かび上がります。過疎地域の危機的状況はさらに深刻化しており、地域存続への課題が浮き彫りになっています。

社会人口増加率ワーストNo.1は「東京都青ヶ島村」

No 都道府県 市区町村 人口 人口増減数 人口増減率
1東京都青ヶ島村156-12-7.14%
2熊本県球磨郡球磨村2,786-172-5.81%
3沖縄県島尻郡渡名喜村300-17-5.36%
4青森県東津軽郡今別町2,193-118-5.11%
5山口県熊毛郡上関町2,269-121-5.06%
6宮崎県児湯郡西米良村1,021-52-4.85%
7山梨県南巨摩郡早川町884-45-4.84%
8北海道中川郡音威子府村636-32-4.79%
9北海道紋別郡西興部村981-49-4.76%
10北海道夕張市6,411-318-4.73%
11群馬県甘楽郡南牧村1,504-74-4.69%
12群馬県多野郡神流町1,564-77-4.69%
13北海道空知郡上砂川町2,459-119-4.62%
14長野県下伊那郡根羽村825-40-4.62%
15長野県下伊那郡売木村473-22-4.44%
16北海道歌志内市2,668-122-4.37%
17北海道天塩郡幌延町2,102-94-4.28%
18青森県下北郡風間浦村1,618-72-4.26%
19長野県下伊那郡大鹿村887-39-4.21%
20北海道枝幸郡中頓別町1,504-66-4.20%
21群馬県多野郡2,603-113-4.16%
22鳥取県日野郡日野町2,742-117-4.09%
23愛媛県西宇和郡8,062-333-3.97%
24愛媛県西宇和郡伊方町8,062-333-3.97%
25高知県長岡郡大豊町3,095-128-3.97%
26山梨県北都留郡丹波山村514-21-3.93%
27青森県東津軽郡外ヶ浜町5,152-206-3.84%
28福井県今立郡2,238-89-3.82%
29福井県今立郡池田町2,238-89-3.82%
30石川県輪島市23,119-902-3.76%

減少率が最も高いのは東京都の離島・青ヶ島村で、わずか12人の減少ながら人口156人に対して7.14%の大幅減となっています。上位30位中19箇所が北海道の自治体で、特に過疎地域の小規模町村が多く含まれています。また長野県の山間部の村や離島・へき地の自治体も目立ちます。この結果は、人口1万人未満の小規模自治体ほど社会減少率が高くなる傾向を示しており、基礎的な公共サービスの維持さえ困難になりつつある地域の存在を浮き彫りにしています。

明暗を分ける日本の人口移動—社会増減からみる地域の未来

2024年の社会人口増減データは、日本社会の変化を如実に映し出しています。大阪市をはじめとする大都市の復権と、北海道リゾート地などの観光地の躍進が顕著です。東京23区は依然として人口吸引力を持つものの、大阪や福岡など地方中枢都市の台頭も見られ、単純な東京一極集中ではない複雑な人口移動が進んでいます。一方で長崎市や神戸市西区などでは人口流出が続き、さらに小規模自治体では7%超の減少率を示す地域も。今後は観光資源の活用やテレワークの普及による地方分散、あるいは地域間の連携強化など、各地域の特性を活かした取り組みが求められるでしょう。

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